異端種
「吸血鬼に限らず、異端種というものは人間として誕生する。だが遺伝子的な、確か、突然変異と言うやつだったかな……それが原因で、ある日、突然覚醒する。例の如く、個体によって覚醒の時期はまちまちだ」
覚醒したというだけで、異端種というだけで、害のない奴も、狂信者は殺そうとする。
その理由というものが、非常に馬鹿げている。
異端種は、奴等の宗教の教えにありえぬ―いや、あってはいけないと言う方が正確か―存在故に、力でもって抹殺しようというのだ。中には奴等にとっても利用価値がある者もいるだろうに。
「じゃあ、犯人はその覚醒した奴、と見ていいのか?」
考えられることは、実はもう一つあるのだが……そこまで言う必要は無い。
「多分な」
オレは無関心そうに鼻を鳴らしただけで、それ以上のことは何も言わない。
探偵は舌打ちすると、苦々しい口調で呟く。
「……だとすれば、見境なく人を失血死させる奴がまだ街には潜んでいる。あんた等が倒したのは、間違い無く後者だろうからな」
それは深刻にもなるな。まだまだ犠牲者が出るという推測なのだから、これは。