正義のミカタ
「ボクはね、このヘン一帯を守る、正義のミカタなんだヨ」
「……ウソでしょう」
「ホントホント。こう見えても、今まで何十万人もの人を助けているんだヨ」
絶対に嘘としか思えない内容を、これまた絶対嘘だろうとしか思えない軽薄な口調でルナは喋り続ける。
ルナから提示された条件。それは、放課後に屋上に来て、話し相手になる。
屋上はやめようよと、と言うと彼女は決まって『誰に言おうカナ? どうせなら厳しいセンセの方がいいヨネ?』とか言い出すんだ……正義の味方がそんなせこいことするか!
「で、その正義の味方さんは、こんなところで油売っててもいいの?」
「ン? イヤァ、どうも次はこの辺で事件が起きそうダナ、って張り込みしているんダヨ。刑事ドラマでよくやるでショウ?」
「……ずいぶん、大雑把な張り込みなんだね」
……学校の屋上で張り込みなんて、聞いたことないよ。
「ほら、なんて言ってもボクは正義のミカタだから。どこでアクマが動くのか、こういうふうにしていれば否が応でもわかるんダヨ」
キャハハハ笑われて、こんな内容を聞かされたら、もうホラとしか僕は受け取れない。
「それに、殺人犯が動くのって夜じゃない? 今張り込みしても意味無いと思うけど?」
「気配の残滓だけでも捉えられないカナ、って思ってたんだケド……世の中そんなに巧くはいかないネェ。夜は夜で忙しいシ」
そうやって、ルナはあの甲高いコロコロした声で笑うだけなんだ……どうすればいいんだろう、僕?
僕にできたことは、溜息をつくだけだった……はあ。