スーパー110
「それにしても、世の中は物騒だね」
「ホント、イヤンなるくらイ」
「日曜日でも講習があるしね」
「ホントホント」
「……ルナ、僕の話、聞いていない?」
「ウン、聞いてナイ」
僕は屋上のコンクリートから身を起こした。もう灼熱の太陽は夕焼けに変わってるけど、ワイシャツは汗でべとついてる。
「あのねぇ……本当に今は物騒なんだから気をつけてよ?」
何しろ、一週間で九人が殺され、六人が行方不明……尋常じゃない犯罪率だ。
「アハハ、ダイジョウブ! 何と言ってもボクは筋金入りの殺人鬼! そうそうおくれはとらないヨ」
そう言って、ルナは自分の薄い胸を叩く。
「アキクンが危なくなったら、社員をドレイの如く扱き使ってでもどうにかするカラ」
ゼンゼン効果無し……コロコロする声で、しかも女の子に言われてもなぁ……はぁ……
ルナとの奇妙かつ、脅迫的な出会いから一週間。その一週間で、彼女はいくつのホラをふいたことか……
世界には、とんでもないバケモノがたくさん潜んでいて、自分達はそれから人々を守っている正義のミカタ、とか、実はルナは僕より年上で三千年以上生きている、とか……あと、ええと……どっかの会社の社長だってホラふいた時もあったし、実は何千人も殺しているスゴイ殺人鬼なんだ、って……しかも、キャハハハ笑いながら……そういうのが延々一時間。喋るだけ喋ると、彼女は、『じゃあ、また明日たネ』と帰っていく。